乳酸菌農法オーガニック堆肥

安心安全な食は、多くの人が願うことでしょう。しかし、食を支える根本には、「肥料の確保」が大きな問題となっています。現在世界中で肥料の高騰が進み、日本国内でも有機肥料や循環型の食料調達に注目が集まっています。現状がどうなっているのか調査を行いました。

我が国の政府は、農産物、生産資材等の過度な輸入依存からの脱却を図るために、小麦、大豆等の本作化、米粉の利用拡大、食品原材料の国産切替え、肥料の国産化・安定供給確保、飼料の増産、化学肥料の使用低減、省エネ技術の導入等、食料安全保障の強化に向けた構造転換対策を2022年12月27日に掲げました。

2030年までの具体的な目標数値

みどりの食料システム戦略

  • 化学肥料の使用量の低減 ▲20%
  • 堆肥・下水汚泥資源の使用量を倍増し、 肥料の使用量(リンベース)に占める国内資源の利用割合を40%まで拡大 (2021 年:25%)
  • 有機農業の取組面積 6.3万haに拡大(2020年:2.5万ha)
  • 農林水産分野の温室効果ガスの排出削減・吸収量 ▲3.5%
  • 飼料作物の生産面積拡大 +32% 等

引用元:農林水産省HPよりhttps://www.maff.go.jp/j/kanbo/attach/pdf/anteikyokyukiban-4.pdf

このように国を挙げて食品原材料及び肥料の国産化を目指した我が国ですが、あらゆる「食」の元となるのは、土であり、その栄養分である堆肥や肥料の確保ができてこそ、はじめて食の国産化が成り立ちます。しかし、その肥料として欠かせない成分である、チッ素・リン酸・カリウムですが、日本の国土には「リン」が無い為に輸入に頼るか、既にあるリンの再利用しか方法はありません。

化学肥料の使用量の低減
▲20% 2030年 ▲30% 2050年
有機農業の取組面積
6.3万haに拡大

リンの再利用 堆肥

堆肥とは、稲わらや落ち葉、家畜ふん尿、食品残渣などの有機物を、微生物の力を使って分解させ、腐熟(※1)させたものです。堆肥は用土に混ぜると、土の中の微生物や作物の根から放出されるクエン酸などで分解されて、養分として作物の根から吸収されます。吸収されずに土に残った腐植は水分や肥料の成分を保持し、よい土にするとされています。

※1:腐熟とは、地力の維持・増強を目的として有機質資材を農業利用する場合に、あらかじめその有機質資材を処理して、微生物の作用によりある到達目標まで腐朽させておくこと。

肥料に関して、有機農業の推進に関する法律(平成十八年法律第百十二号)で、下記のような記載があります。

第二条 この法律において「有機農業」とは、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう。
出典:e-Govポータル

短期間で完熟堆肥化

堆肥作りはとても時間がかかります。田畑で育った稲わら、もみ殻、野菜の葉やつる、茎をはじめ、落ち葉、樹皮(バーク)、おがくず、家畜の糞などを分解・熟成させて作ります。通常、炭素を多く含む植物性のものは、分解・熟成に時間を要しますが、短期間で分解・熟成を促進を促す「LB Shiomi乳酸菌・枯草菌・放線菌」が堆肥化促進に役立ちます。

通性嫌気性細菌である「LB Shiomi乳酸菌」は、酸素が少ない環境下でもしっかり働き有機物の分解を促進させます。

牛糞堆肥

滋賀県竜王町の牛肥育牧場「澤井牧場」の牛糞で堆肥化テストを行いました。

澤井牧場は、餌や牛の住環境にもこだわり、抗生物質なども一切与えずに、牛を育てています。

澤井牧場HP

堆肥化試験の結果としては、最も寒い1月~2月の屋外でも40日で堆肥化に成功しました。1週間ほどで、臭いもほぼ感じないレベルまで分解しました。通性嫌気性細菌であるLB Shiomi乳酸菌で堆肥化を行うことのメリットは、エアレーションが要らない。ということです。堆肥化の為のCO2排出削減につながりますし、設備導入のコストも低減されます。

牛糞堆肥の特徴

主な飼料は粗飼料(乾燥牧草、発酵青草)、濃厚飼料(トウモロコシ、大豆かす、小麦など)を餌として与えられる。胃を四つ持ち、第一胃と第二胃には、かたい繊維を分解する微生物が共生しています。「糞」として排泄された繊維は細かく分解されており、堆肥として鋤き込むと土の物理性を高めます。繊維主体で分解が穏やかなので、水や空気をよく保ち、保肥性にも優れています。

微生物が多い土壌ではよい農産物が育つ

土壌中には、乳酸菌はもちろん、枯草菌、放線菌、球菌、桿菌、酵母菌などの有用菌から、うどんこ病の原因となる糸状菌などの悪玉菌と、多様な「菌」の生態系があります。私たち人間の腸内環境と同じように、土壌環境でも、善玉菌と呼ばれる乳酸菌などの「よい効果をもたらす」環境づくりが大切なのです。

LB Shiomi乳酸菌を使って発酵させた堆肥には、よい効果をもたらす菌の効果としてエンドファイト効果 (エンドファイトには、毒素をつくらずに植物の免疫力を高めたり、生育を促進したり、強光や高温、乾燥等のさまざまな環境ストレスに対する耐性を高めたりする菌がいることがわかり、注目されています。)

その他、土壌構造を柔らかくすることによる土壌環境改善効果。乳酸菌が共生する植物の成長、開花、結実を促進する効果などが挙げられます。

弊社のLB Shiomi乳酸菌を使った
「プロバイオティクス環境農業への応用原理」として農業への乳酸菌使用についての効果を、京都大学名誉教授である松井三郎氏がまとめられています。

注:2012年当時の乳酸菌の名称は「Lactobacillus fermentum 403菌」でしたが、2014年より製法の変更に伴い名称が「LB Shiomi」となりました。菌の種類は同一です。

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